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16.06.2007

充たされざる者

大量の仕事もようやく終了。次に依頼を受けた大量長期の仕事は、価格が折り合わずお断りした。偉そうなヤツだ。大量仕事の合間を縫って読んだ本は

◎「充たされざる者(カズオ・イシグロ著/古賀林幸訳)

070616 厚くて長かった。この6月に絶版本が文庫化されたため何も考えずにポチってしまったのだけれど、文庫で1400円という値段から厚さを想像すべきだった。だけど長さがこの作品の肝なのかもしれない。

これまで読んだイシグロの作品「わたしを離さないで」「日の名残り」とは毛色の異なる不条理系。「はぁ?」「なぜ?」頭の中ははてなマークで埋まる。この不条理な話が延々939ページも続くのかあ。久しぶりに途中で読むのをやめようかという気にすらなる。イシグロというネームバリューにこの本を「読まされている」のだろうか。悶々としつつ読む。こんなに長い不条理本を読んでいるということ自体が不条理だ。

とか何とか考えながら読んでいるうちにだんだんと作品に引き込まれてしまっていた。なぜだろう。不条理な話を読むことで自らが不条理の世界に入り込んでしまったから、主人公をふくめ登場人物の交わることのない思いのベクトルのひとつひとつに私自身が翻弄されてしまったから、なのかもしれない。理由は本当のところよくわからない。

この作品の評価は絶賛と酷評に分かれるという。心を動かされたのは確かだ。でも絶賛はしない。だけど酷評という訳でもない。すぐに読み直したいとは思わないけど(ちょっと疲れた)、読み直すたびに読み方や感想が異なってくる作品だと思う。 カフカの「城」と比較して、カフカを超えた、いや劣化コピーだという感想も聞こえてくる。イシグロは「日の名残り」でブッカー賞を受賞して、ようやく好きなものを、という思いから書いたのがこの作品らしい。そして、この作品は発表当時の「最高の自信作」だったという。まったく読書とは奥深い。

画像は単行本のものを使用。文庫の画像は帯の部分から切れていて不自然だったため。単行本では上下2巻だったが文庫は何故か1冊にまとめられている。読者の挫折を見込んだのかも。

不条理な話を939ページも読んだ後は、どんな本でも読めるかもしれないという変な自信がついた。これはひょっとすると最悪の天候で走った東京マラソンの後に、もうどんなレースでも走れるぞと思えたのと同じ?(違)。

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Comments

ふ~む、私ならきっと最後まではたどり着かないだろうな。
1400円の文庫なんてあるんですね。びっくり。
不条理な話って、かなり集中して読まないとすぐ頭の中がこんがらがりそうです。
あれ?「こんがらがる」で合ってるんでしたっけ。
こうして文字にすると急に自信がなくなる・・・。
そういう言葉ってありませんか(笑)。
すっかり話題がずれている~(^^ゞ

私も東京マラソン以降、雨がへっちゃらになりました!

Posted by: みなみ | 16.06.2007 at 13:56

◎みなみさん、おはよう!

金曜にオット用の文庫「哲学者の密室(笠井潔)」が届いたのですが、1600円、1165ページで厚さ4.3cm(測ってみた)でしたよ。何故か勝ち誇った目で私を見ました(笑)。厚い本はぐいぐい読ませるタイプでないとつらいですねぇ。

ちなみに「こんがらがる」で間違いないよ~。わかる、文字にしてみて「これって大丈夫?」と不安になる言葉ってあるよね。私は仕事に国語辞典を欠かせません。

東京マラソンの話をしたらまたフルを走りたくなってきました。

Posted by: 京丸 | 17.06.2007 at 06:52

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