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22.06.2007

テロル

最近すっかりホンヤクモノに抵抗がなくなった。というより、以前より少しは良いものを選べるようになったということかもしれない。お陰で、自宅にいながらにして海外への旅を楽しんでいる。今日の旅はイスラエル/パレスチナ。旅というには重すぎる話だったけど。

◎「テロル(ヤスミナ・カドラ著/藤本優子訳)

20070622悲劇に胸を痛めつつ一気に読んだ。長い年月にわたり中東が抱えてきた対立の図、そしてその土地で妻に壮大な「浮気」をされた夫のはなし。文章も素晴らしい。中東の荒れた土地、対照的にそびえる瀟洒なビルや屋敷が目に浮かぶようだ。

ある日突然、妻が自爆テロを敢行する。妻の自爆テロは言わば究極の「浮気」だ。その事実に直面させられた夫の苦悩。次第に明らかになる妻の心情。それにまつわる宗教的、国家的問題。つらく悲しい話だった。人を救うための宗教がなぜ人を苦しめるんだろう。それから大きな声ではいえないけれど妻に「浮気」されて打ちひしがれる夫ってなぜこんなに哀れなんだろう。

夫婦の気持ちのずれ、そしてアラブという社会・意識とのずれがからみ合い、一気に引き込まれた。社会的に重いテーマを詩情豊かな美しい文体が表現する名作だ。訳も良かった。

自爆テロは確かに遠い国の話だ。でも、実際に今週も起きている。

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Comments

イスラエルには仕事がらみの古い知り合いがぼちぼちいるんです。この記事を読んで,ちょっと連絡してみようかと思い立ちました。
一番親しかった人(日本人!)にメール出しました。本人はuser unknownでしたが,ご主人(イスラエル人)のメールアドレスは生きてるみたい。エラーは戻ってきません。

返事来るかな。

Posted by: びい | 22.06.2007 at 12:02

◎びいさん

この記事がきっかけでお友達と連絡が取れたら私も嬉しいです。ご主人のメールアドレスが生きているんだったら、きっとお友達にも届きますね。

お返事来ますように。

Posted by: 京丸 | 22.06.2007 at 13:44

重そうなお話ですが、ちょっと読んでみたいなと思いました。
「テロル」という題名はどんな意味なのかしら?
「テロ」に関係したことから来ているのかなぁ。

かなりのスピードで積読の山を減らしていますね。
私も読書したいっ!

Posted by: みなみ | 22.06.2007 at 16:12

◎みなみさん

「テロル」は、そのまんま「テロ」の意味です。原題は「L'attentat」です。

重い内容ですが、ぐいぐい読める本です。機会があったら紐解いてみてね。

積読本…実は減ってないのよ(涙)。買うスピードに読むスピードが追いついてないのであります。つまり、買いすぎです(汗)。

Posted by: 京丸 | 22.06.2007 at 16:52

返事来ましたよ。喜んでくれました。ありがとう,京丸さん。

いくつかの戦争で帰国を考えなかった人が,その後頻発する自爆テロのために悩んだ時期もあったそうです。でも,今は普通に生活してるって。
仕事のやりとりがあった時期にもテロはあって,確か初めてエルサレムであったときは,結構彼女は近かって「怖くないの?」と聞いたら「私には今の日本のほうが怖く感じる」と言ってたことを思い出しました。

Posted by: びい | 24.06.2007 at 11:32

◎びいさん

返事来ましたか~。よかった。自分が何かのきっかけになるって嬉しいものですね。

うん、ひょっとすると日本は今、自爆テロが勃発するかの地よりも怖い土地なのかもしれません。いったい日本は、日本人は、私はどうなっていくんだろう。

Posted by: 京丸 | 25.06.2007 at 08:28

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