« 平日無給休暇 | Main | 重曹おそるべし »

18.02.2009

かの地で

ここのところスーパー読書モードに突入していて、時間を捻出しては本を読むという日が続いています。ここの更新もすっかり途絶えてしまっていました。前回紹介した本が「仮想儀礼」…ということは、その後に読んだ本が既に13冊。さて書評どうしよう。

そんなこんなで、本ばかり読んでいて世間にも疎い生活を送っていましたが、先日イスラエルで作家村上春樹がエルサレム賞を受賞したというニュースはたまたま目にしました。そして、複雑な心境となりました。(以下、少し政治的な話も書くつもりです。お好きではない方はスルーしてください)

私の場合、中東問題に関してはどう転んでもアラブの側。しかしアラブに偏った考えを出来る限り差っぴいても、「社会における個人の自由」を讃えたという賞を今のイスラエルで村上春樹が受賞したということに違和感を感じたのです。その後、ネットであれこれ調べてみたところ、受賞を辞退しろと村上に迫ったり、受賞することを決めた村上はひどいという内容のチェーンメールを送っていたNGOなどもあったのだとか(受賞するかどうかは本人が決めることだから、たとえ同じような違和感を覚えたとしても、そういう行動には賛成できないけどね)。

そして、村上は受賞しました。彼は受賞を辞退するという無関与ではなく、受賞のその席で自らの意見を述べたのです。

http://www.youtube.com/watch?v=4c7BmEJ9ais (受賞スピーチを抜粋したニュース、字幕あり。音が出ます)

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/26ca7359e6d2d15ba74bcdf9989bee56 (スピーチ原文)

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0902/17/news061.html (関連記事)

村上のデビュー作に出会ったのは10代の頃。以降、ずっと彼の作品を読みつないできました。私は間違っていなかった。

辞退する方が簡単だったはず。敢えて困難な道を選び、かの地でその思いを述べた村上に心うたれました。

|

« 平日無給休暇 | Main | 重曹おそるべし »

Comments

ときどきブログよませていただいております。
自分もいま走ることは諸事情により中断しております。
京丸さんと同じように本を読んでおります。
月1冊ペースですが、
小川洋子さんの本もゆっくりと読んでおります。
久々です。残りのページが少なくなっていくのが悲しくなる読書は・・・
少しでもこの静謐な時間を長引かせたい感じです。

春樹さんの受賞での発言については自分も同感です。
ある意味マスコミと距離をとっていた彼が受賞スピーチ
であえて政治的な発言をしたのは驚きでした。
そのぶん心に響くものがありました。
イスラエルのガサの戦争は遠い国のニュースと
見ておりましたが、春樹さんスピーチを聞いていてから
傍観者ではなくもう少し真剣に見なくてはと思いました。

追伸・・・読書のコメント。とても参考になりますので
これからも続けてください。ありがとうございます。

Posted by: さだはる | 19.02.2009 at 06:10

人前に出るのが嫌いな村上さんが、あのような行為をとったのはよくよく考えてのことだったのだろうなと思いました。
最初は本当に意外な気がしたけれど、スピーチは素晴らしかった。原文を教えてくれてありがとう!

久しぶりに見る村上さんは、やっぱりちょっとお年を召されていたけれど、元気で走っているのかな~とか、トライアスロンは今年もやるのかしら、なんて思ってみてました^^

日本の政治家はダメダメだけど(N元財務大臣は休肝日同盟に入ったほうがいいよね)、ノーベル化学賞を受賞したり、今回の村上さんといい、多方面で活躍してくれる日本人がいて救われます。
こうなったら、村上さんにはなんとしてでもノーベル文学賞を取って欲しいよね。

私も書評を楽しみにしているよ~♪

Posted by: みなみ | 19.02.2009 at 09:03

◎さだはるさん

お久しぶりです。あれからも時々読んでくださっていたのですね。嬉しいです。

「走る」という行為は必要な条件が全て整って初めて叶うのですね。走れなくなった当初は焦ったり悲しくなったりしましたが、長い人生には走れない時期もあるんだと思えるようになりました。走れない時間も充実させたいものですね、お互いに。

私はどうしてもアラブ側に加担してしまうのでこの記事を書くには勇気が要りましたが、どんな形にせよ、社会が個人を暴力という形で傷つける行為には賛同できないと私は考えていました。

村上春樹がどちら側かということではなく、圧力に屈することなく(それが自分と似たような考えであったとしても)、自分の気持ちをペレス大統領やエルサレム市長の前で(これも形の異なる圧力に違いありません)述べた姿勢とそのスピーチの内容に胸を打たれました。へべれけ大臣のお陰でこの話題があまり報道されなかったことは、残念です。

本の話題も楽しみにしてくださってありがとうございます。どんな本をどう読んだか。これは自分の本心を晒す行為にも似て、時々行き詰ってしまいます。それでも楽しみにしていただいていると伺うと、嬉しくてちょっと張り切ってしまいます(単純)。読了本がたっぷり溜まってしまって全部は紹介できそうにありませんが、思うところある本についてはここで地道に書いていこうと考えています。また、さだはるさんのお話も聞かせてくださいね。

小川知子の本、しみじみと良い本ですよね。私もずっとこの物語の中を漂っていたいと感じた本でした。

Posted by: 京丸 | 19.02.2009 at 09:43

◎みなみさん

よかった。みなみさんも受賞には同じ印象を持ったんだね。本文にも書いたけど、私はどう転んでもアラブに加担してしまうので、公平な見方ができてないんじゃないかと思っていたのですが、みなみさんも意外に思ったと聞いてちょっと安心しました。

私が見たニュースでは受賞したことだけしか報じてなかったのよね。それじゃ意味ないよね。彼がなぜ「受賞」という選択をしたのか、そこが報道されてないと無意味だと思うのよ。おまけに、へべれけなお方の話ですっかりこの話題はかききえてしまったし。大臣の話も重要じゃないとは言わないけど、この受賞はもっと大きく、そしてきちんと取り上げられてもいいはずだよね。それともアメリカに遠慮があるのか。ヒラリー来てたし(と、うがった見方をしてみる)。

驚いたことに、年齢を見たら村上春樹は60歳になってました。一般的な60歳には見えないけれど、やっぱり少しお年を召されていたね。私が目を奪われたあの少年のような背中を彼はまだ持っているのでしょうか。トライアスロンも、できれば続けていて欲しいな。

読了本が溜まってしまって書評が全然追いつきませんが、少しずつ書いていくね。しかし、さだはるさんへのコメントにも書いたように「何をどう読んだか」って、心の奥底を晒すような行為だなあと感じるよ。

Posted by: 京丸 | 19.02.2009 at 10:01

リンクを貼ってくださっていたので、いろいろ見せていただきました。
人を批判したり、正論を言ったりするのは簡単だけど、
国家元首を前にしてそれを言える人がいったいどれだけいるでしょう。

日本人の品格を傷つける大臣もいれば、日本人として誇りに思える作家もいる・・・いいお手本と悪いお手本だと思って、自分もちゃんと影響を受けようと思いました。

Posted by: まこと | 19.02.2009 at 10:32

私が見たニュースでは59歳と報じられていたけれど、お誕生日が来て60歳になったのかなぁ。
還暦という言葉は、村上さんには似合わないね!

Posted by: みなみ | 19.02.2009 at 12:15

◎まことさん

あちこち見てくださってありがとうございました! 今回のことは「ペンは剣より強し」という言葉の意味を再確認させてくれました。村上春樹の語る言葉がかの地でどのように受け止められたのか気になっています。

私も、できる限り公平な目を持ち、隠したり臆したりすることなく堂々と意見を言えるようになりたいと彼を見て感じました。日々なにごとも勉強ですね。

Posted by: 京丸 | 19.02.2009 at 13:30

◎みなみさん

>お誕生日が来て60歳になったのかなぁ。

どうやらそのようです。お誕生日は1949年1月12日みたい。きっと受賞が決まった時点では59歳だったんだろうね。

還暦…似合わないねえ。だけどトライアスロンではエイジ部門で有利になるかも(笑)。

周囲の人の歳を聞くと愕然としてしまうねえ。自分の歳のことはすっかり忘れてるせいだな。私にとって村上春樹は35歳くらいのイメージです(自分自身は一体何歳のつもりだ!?)。

Posted by: 京丸 | 19.02.2009 at 13:36

大変ご無沙汰してます。お元気ですか?

村上さんの受賞のニュース、テレビでは、スピーチがほんの一部しか流れなくて、その発言の意図がよくわからないままで、なんとなくもやーっとしたのに、そのままになってました。
京丸さんのおかげで、スピーチの全貌を知ることが出来て本当に良かったです。ありがとうございました。

村上さんの本は多分全体の1/3くらいしか読んでいないと思いますけど、一昨年(もう一昨年!)のNYCMの前に村上さんの本を読んでとても勇気付けられたことを思い出しました。
また読み返してみようかな。

ニュースを見ていると悪い顔の日本人ばかり出てきて情けなくなりますが、そうでない日本人の顔を久しぶりに見たなー、と、あの一瞬のスピーチ映像を思い出しました。

Posted by: Fumiko | 19.02.2009 at 19:48

京丸さん、お久しぶりです。

京丸さんがリンクを貼ってくださったので、動画を見ました。
全文を知りたくなったので、『スピーチ・全訳』で検索しました。
そう、英語読めないから・・・(汗)。
英語同様、世界情勢に疎い私ですが、このスピーチを読んで感激しています。
かの地で、このことを言うために、出向いていった村上氏の決意を思うと、心が震えます。
もうちょっと、村上氏のことを知ってみたいと思うようになりました。

Posted by: 海実子(みみこ) | 19.02.2009 at 22:07

◎Fumikoさん

お久しぶりです!お元気ですか?でもFumikoさんのブログは拝見していました♪

ちょっと悩みつつこの記事を書いたのですが、Fumikoさんのもやもやが晴れたのでしたら書いた甲斐がありました。やっぱりこのニュースは中途半端なものがほとんどだったのですね。私が実際に目にしたものも、違和感を残しただけで全体像が見えませんでした。このニュースこそきちんと報道して欲しかったな。

村上さんは自分だからこそやれること、伝えるべきことをきちんと考え、そして行動に移せる人なんだと改めて感じました。良い方向に人に影響を与える人って最近少なくなりましたが、久しぶりに学んだ気がします。私も走る本など再読してみようかと思います。

いつかFumikoさんとNYCをまた一緒に走る日を待ってます。今年は今日から申し込み開始だったのでは?

Posted by: 京丸 | 20.02.2009 at 08:33

◎海実子さん

ちょっとご無沙汰していました。動画を見てくださったのですね。上のコメントにも書きましたが、あのスピーチはペレス大統領やエルサレム市長の目の前で行われたと知り、さらに私は胸が熱くなりました。

村上さんの本はたくさん出ていますが、ランニングについて書かれた本「走ることについて僕が語ること」も出版されています。短編集は短くても心を打つものが多いです。私が走り始めたきっかけも実は村上さんなのでした。

Posted by: 京丸 | 20.02.2009 at 08:38

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 平日無給休暇 | Main | 重曹おそるべし »